King Gnuが売れた理由は?ヒット曲や人気曲をご紹介!

2019年を代表するヒットソングと言えば…
何かわかりますか?音楽に詳しい方はすぐに思いついたかもしれませんね。
そう、King Gnuの「白日」です。
「イノセンス 冤罪弁護士」のタイアップとして書き下ろされたこの楽曲は、発表されると瞬く間に世間へ知れ渡り爆発的大ヒットを起こしました。YouTubeでミュージックビデオが公開されていますが再生回数は2億回を超えています。
白日以降もCM曲などで話題を呼び、その人気は衰えることを知りません。
YouTubeで公開しているミュージックビデオは2000万回再生を超えたものが多々あります。
なぜこれほどまでに売れたのか?
今回はKing Gnuが売れた理由とヒット曲や人気曲を紹介していきます。
Contents
King Gnuとは
常田大希(Gt.Vo.)、勢喜遊(Drs.Sampler)、新井和輝(Ba.)、井口理(Vo.Key.)の4人で構成されたバンドです。
東京藝術大学出身の常田大希が2015年に「Srv.Vinci」という名前で活動を開始し、メンバーチェンジを経て建材の4人体制へとなりました。
2017年4月26日にバンド名を「King Gnu」へと改名して新たなスタートを切り、2019年1月にメジャーデビューを果たしました。
バンド名の由来は、動物のヌーが春から少しずつ合流して群れを成し、やがて大きな群れになることから、自分たちも老若男女をまきこんだ大きな群れになりたいという思いからつけられたそうです。
King Gnuの人気は衰えることなく、なんと今年は2月から4月にかけて、新アルバムを引っさげてのアリーナツアーを開催するまでとなりました。(コロナの影響で延期となっています。)
音楽に関しては「オシャレ」という意見が多く、確かにどの楽曲も他にはないオシャレさを感じるものになっています。
彼らはメンバーそれぞれが様々な音楽の影響を受け、そこから新しい音楽を作り上げています。そのことから自らの音楽を「トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル」と称しています。
オルタナティブ・ロックだけでなく、ジャズやヒップホップ、クラシックなど幅広いジャンルの要素をろり入れつつ、歌謡曲のような親しみやすいメロディーに日本語による歌詞を乗せることを重視しています。「J-POP」をやるということがKing Gnuの大きなコンセプトになっているそうです。
常田大希は「誰かの哲学に共感して一緒に頑張りたいと思うよりも、自分の哲学に沿って何かを作り出していきたいタイプ」と自身について語っており、「(自分達だけで完結させて)かっこ悪いものになってしまったとしても、それは自分の責任ということになるけどそれが心地よい」と自分たちのスタイルへのこだわりを見せています。
また、ロゴやCDジャケットのデザインや映像は常田大希が立ち上げた「PERIMETRON」というクリエイター集団が作成しており、自給自足で作品を作っているといえます。
メンバー
常田大希(Gt.Vo.)
King Gnuを立ち上げた張本人です。
クリエイター集団「PERIMETRON」を立ち上げた者でもあります。作詞作曲も担当しており、芸術的センスの高さを感じさせます。
東京藝術大学でチェロを専攻し、世界的に有名な小澤征爾の楽団に在籍したこともあるなどクラシックへの造詣が深く、それが曲作りの中でも活かされています。
基本的にプロジェクトを動かいしているのが常田で、彼がKing Gnuの軸と言っても過言ではありません。
勢喜遊(Drs.Sampler)
名前のインパクトが凄いですが「せきゆう」と読みます。
プロミュージシャンを両親に持ち、幼い頃から自宅にあった電子ドラムをたたいて過ごしていました。小中学生時代はダンススクールに通っており、ダンサーを目指していたそうです。
新井和輝(Ba.)
一般的な大学に通っていましたが、音楽に没頭して友人のいる音楽学校で授業を受けて音楽の知識を得ていたそうです。
大学時代にドラムスの勢喜遊と出会いバンドを始めました。ベースを担当した理由が「ベースパートしかあいていなかったから」です。当時はASIAN KUNG‐FU GENERATIONのコピーをしていました。
井口理(Vo.Key.)
おそらくあまりKing Gnuを知らない人でも彼は何となく知っているでしょう。
常田と幼馴染です。東京藝術大学で声楽を学び、常田からは「嫌われない声」と称され、多くの人に届く声だと評価されています。バンドと並行して舞台役者としても活動しており、トリッキーなキャラクターがファンから愛されています。
爆発的ヒット!King Gnuが売れた理由とは?
メジャーデビューから1か月後にドラマのタイアップ曲として発表した「白日」が大ブレイクし、その後も人気は衰えることなくCM曲や映画の主題歌も担当してきました。
もちろん音楽や世界観がファンの心をつかんで離さないのはもちろんですが、ここまで話題性を保ち続けているのはただ人気なだけではありません。
売り方が非常に巧妙だといえます。
前提として、常田はKing Gnuを「売れるためのバンド」としています。大衆へ向けた大衆の音楽とも言えましょうか。オシャレさはありつつも歌謡曲のような親しみやすさは、ある種の型にはめた音楽であるとも言えるでしょう。それ故に、人気になるのもうなずけるでしょうが、それだけで売れるほど甘いものではありません。
やはりリズムや世界観においては「King Gnuらしさ」というものがあるようにも感じます。軸はあるが大衆に媚び寄り添った音楽という、相反しているものが絡み合ったような空気感が多くの人を魅了しているのかもしれません。
独自性
さて、King Gnuが売れた理由は何か?という話ですが、やはりそこにはKing Gnuが持つ独自性があるでしょう。
メンバーについて
メンバーについては冒頭でも触れていますが、まずこの大きなプロジェクトを指揮している常田は異常なほど頭が良いでしょう。King Gnuを指揮し、millennium paradeも立ち上げました。そしてクリエイター集団のPERIMETRONを作ったのも彼です。大衆音楽をやりながら個性的な音楽を作り、芸術でもその力を発揮しているのですから一体頭の中がどうなっているのかと感嘆の声を漏らす業界人もいるのです。
そしてボーカルも務める井口はその声が魅力なのはもちろんですが、キャラクターが良くも悪くも人に覚えられるものです。クレイジー、トリッキーなどとにかく「頭がおかしい」キャラクターが多くの人にウケています。ライブにおいてもやはり彼はよく喋るようですが、関係のない話が多いそうです。どこか近寄りがたい雰囲気を和らげているのは彼でしょう。
ドラムの勢喜ですが、彼はドラムへの評価がかなり高く、King Gnuの音楽に独自性を持たせる一役を担っていると言って過言ではないと評されています。「理屈を超えて人を動かす力」があると称されました。
ベースの新井はベースを始めた理由が「ベースパートしか空いていなかったから」というもうこの時点でトリッキーさが垣間見えています。グループの中では一家の大黒柱のような存在です。個性豊かすぎるメンバーをまとめることができるのほどのしっかり者ということや論理的な話し方から勢喜からは「新井先生」と呼ばれています。
音楽について
まず、邦ロックは8ビートのリズムが主流とされていますが、King Gnuの楽曲はそのほとんどが16ビートとなっています。しかもバウンスしたりシャッフルしたりするため日本人の耳には「洋楽っぽいオシャレな音楽」に聞こえるのです。
本来このやり方は一部にウケても大衆に好まれるにはハードルが高いのですが、ここに巧妙さがあるのです。
独特さや新しさはウケが良くとも多くには受けれられません。なので日本人になじみ深い「J-POP」らしさを出しているのです。イントロが短くサビがわかりやすいなどがあげられるでしょう。そしてサビ以外でもメロディーに動きを出してドラマチックに演出しています。
聞きなれない中に聞きなれた特徴を上手く組み込むことで独自性を保ちつつも大衆に向けた音楽を完成させたのです。まさに「売れるための音楽」と言えるかもしれません。
マスメディアでの露出
ロックバンドが避けがちなマスメディアでの露出を積極的に行いました。
音楽番組に出演したりタイアップの話が来たら断らず作品に寄せた曲を作り、ラジオやCMに出たりプロモーションも行い、そして紅白にも出場しましたね。
不特定多数が様々なメディアでKing Gnuというバンドに触れる機会を作っていたといっていいでしょう。特にラジオやテレビ番組のタイアップの場合、毎週コンスタントに曲を聴くことになり、視聴者は自然と曲が頭に残る状態となります。
聞きなれていくうちに好きになる、という現象を起こすことが可能ですよね。
なんでもそうですが、存在を知ってもらわなければビジネスは成立しません。
SNSの利用
メンバーの井口がTwitterで面識のない著名人(ジャスティン・ビーバー、ローマ法王など)にダジャレやミュージックビデオをリプライで送ったり、下ネタやダジャレを連発したりなど、トリッキーなキャラクターがここでも発揮されていました。(現在はアカウントが削除されています)
公式Twitterや公式InstagramではMVの公開や番組出演の告知、シングルやアルバム発売の告知などがメインです。フォロワーもどちらも40万人を超えており、Twitterは50万人を突破しました。
メンバーのアカウントも20万人を超えており、特に井口のアカウントはそのクレイジーさからかかなりのフォロワーを獲得しています。
各マスメディアで話題性を獲得し、SNSでさらに情報発信をするという構図がきれいにはまっている例でしょう。
King Gnuのヒット曲や人気曲は?
タイアップ曲が多数あることもあり、King Gnuは人気になったり話題になる曲が多くあります。
今回は評判が良い、人気が高いということを基準に5曲を選び紹介していきます。ファンの方ならばおそらく納得できる5曲になっているのではと思います。
その独特の世界観と馴染みやすいように練られた音楽の数々を堪能しましょう!
それでは紹介していきます。
爆発的大ヒット曲「白日」
まずはKing Gnuといえばこの曲「白日」です。
この曲は坂口健太郎主演の日本テレビ系土曜ドラマ「イノセンス 冤罪弁護士」の主題化として書き下ろされたものです。
ドラマではもちろんですが、発表後から様々な音楽番組やラジオなどで聞く機会が多かったですよね。
YouTubeでMVが公開されていますが現在でも再生回数を伸ばしており、2億5000万回を突破しています。ストリーミングサービスでも驚異の再生数を獲得し、各種チャートでも上位に入っています。
白日には様々な仕掛けがあり、まずJ-POPの王道である「Aメロ→Bメロ→サビ」という流れで作っていません。音程の変化も激しく、最初は静かな高音から入り、アップテンポに変化してサビは高揚感のあるメロディーになっています。
いわゆる売れている音楽の型から大きく外れているのに「よくわからない」ではなく「なんだかすごい」と聴く者に思わせるだけの演奏力、歌唱力、表現力があることをこの曲で証明していると言っても過言ではありません。
King Gnuらしさ全開のCMソング「Teenager Forever」
白日とは打って変わって明るい楽曲という印象がありますね。
Teenager Foreverはソニーのワイヤレスヘッドホン/ウォークマンのCMソングに起用されているもので聞き覚えのある方もいるでしょう。
YouTubeでMVが公開されているのですが、これがなかなかユニークなのです。
井口がタンクトップに半ズボンというラフな格好で走りながら歌いだすのですが、もうすでにインパクトが抜群なのです。
間奏明けで帯封のついた札束がメンバーに配られます。実はこのMVのビデオコンセプトがもらった札束を彼らが思い思いに使うというものだそうです。
メンバーごとに使い方が全く違っていて彼らの個性や素の表情がうかがえるものとなっています。
風刺的な歌詞と独特なMVが特徴「Slumberland」
「slumberland」は直訳すると「まどろみの国」となり、考察の中では「眠れる街」などと言われています。
歌詞を見ていくと、マスコミ批判やその情報に流されて信じ切っている我々に「目を覚ませ、目を凝らせ」と訴えかける何とも風刺的なものになっています。
MVでもテレビの収録現場に乗り込んでKing Gnuの面々が狂ったように歌っています。人形を使っており、その様子が「治安の悪いセサミストリート」などと呼ばれ話題になっていました。
ボーカルを務める常田が拡声器で歌っていることからも我々に「マスコミの情報をうのみにするな。おかしい事に目をつむるな(=眠るな)」と訴えかけているように思えますよね。
人気アニメBANANA FISHとのタイアップ曲「Prayer X」
フジテレビのノイタミナで2018年に放送され話題になったアニメ「BANANA FISH」のエンディングテーマです。
なんと作詞作曲を担当した常田は原作を全巻読んでから作ったそうで、作品へのリスペクトを感じますね。原作ファンからも「アッシュ(原作の主人公)へ捧げられた歌だ!」「BANANA FISHを完全に理解している」と評価されています。
MVのアニメーションは原作とは無関係かと思いきや、原作の主人公であるアッシュの人物像を重なる部分があります。意味深でYouTubeのコメント欄では様々な考察が繰り広げられています。
ヒットのきっかけになった人気曲「Vinyl]
King Gnuブレイクの火付け約となった曲です。
曲の構成は白日と打って変わって実にJ-POP的で歌謡曲然としているのです。曲の構成だけに注目して聞けばどことなく「聞き覚えのある」ありきたりなものです。
ですが、使い古されたものと思わせないのがKing Gnuの凄いところ。ブラックミュージックを感じるドラムや井口の奇麗な歌声と常田のガレージサウンドが重なるサビ、音運びが流石King Gnuといった感じで絶妙に「オシャレ」ですよね。人気になるのがうなずけます。
ジャズのようなJ-POPのような…頭に残るサウンドです。
まとめ
King Gnuはなるべくして有名になった、という印象が非常に強いです。
タイアップをすれば絶妙な曲を作り、曲を発表すれば使える手をすべて使って宣伝し、自身のブランドを崩すことなく大衆の音楽を作っていく。
唯一無二のバンドと言って過言ではないでしょう。
ブランディング、オリジナリティ、SNSの活用、メディア露出などなど様々な手法、戦略をとって売りに行っているバンドです。まさに「売れるためのバンド」らしい動きですが、ここまで価値を大衆に浸透させるのは簡単ではありません。
軸を持ちブレずに「着いてこい」と言わんばかりの姿勢が我々には格好良く映るのでしょう。
彼らを追い続ける人々が集まり、いつしかヌーの群れのようになっていったのです。